台湾巨匠傑作選2024
開催によせて
君はワン・トン(王童)を観たか!
台湾人の友人から「台湾映画過去作のデジタルリマスター版があるけど、日本で配給しない?」と持ち掛けられた。12年前、映画配給業者として独立間もない頃の話だ。リストを見ると、ホウ・シャオシェン監督『坊やの人形』『童年往事 時の流れ』『恋恋風塵』とアン・リー監督の〈父親三部作〉『推手』『ウェディング・バンケット』『恋人たちの食卓』であった。話を聞いてみると権利料もそんなに高くない。是非、やりたい。すぐに思った。ホウ・シャオシェンのファンだった。自分が大好きな映画作家の作品を配給できる。ドキドキした。
私のホウ・シャオシェン遍歴はストレートではない。『恋恋風塵』を観て瑞々しくてかわいくて哀しい素敵な映画だ、なにより映像が凄い。ワンカット観ただけで郷愁と抒情が伝わる。南国の風景なのに日本の原風景よりノスタルジーをかき立てられる。その映像の力に魅せられた。遡って『童年往事~』を観て確信し『悲情城市』で打ちのめされた。それから、公開されるホウ・シャオシェン作品を追いかけ映画館に通った。若かった。『仁義なき戦い』は「代理戦争」から、『ゴッドファーザー』は「PARTⅡ」から、『男はつらいよ』は「寅さん相合傘」から入った。ヒットしている最中は足が向かない。若気の至りだ。
『恋恋風塵』は手違いでよその配給会社に売られてしまったが、当時、『セデック・バレ』をヒットさせたビデオ会社とタッグを組みトラヴィス、K’s cinema の協力を得て、第一回”台湾巨匠傑作選“を開催することができた。前記ホウ・シャオシェン2作品、アン・リー3作品に松竹、フィルムセンターから『憂鬱な楽園』『フラワーズ・オブ・シャンハイ』『珈琲時光』、バサラ・ピクチャーズ(当時)から『ヤンヤン夏の想い出』をお借りし、共催するビデオ会社から『セデック・バレ』『セデック・バレの真実』『海角七号/君想う、国境の南』の提供を受けて映画祭的な体裁を整えることができた。2014年8月23日から24日間という変則な日程の興行だった。これが好評を博して、その後ほぼ毎年開催させてもらって10年が経った。
その間、多くの人に助けられ教えられた。パンフレット巻頭の執筆と初日トークは亡くなる直前まで映画評論家の佐藤忠男さんにお願いして、貴重な話を読み聞きさせていただいた(おそらく映画『HHH:侯孝賢』パンフレットの記名原稿が絶筆と思われる。文章にかなり乱れがあり修正と校正を任された)。「台湾映画はホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンだけじゃないよ、『スーパーシチズン超級大国民』やワン・トンの三部作『無言の丘』『村と爆弾』『バナナパラダイス』というのもある」と仰っていた。『無言の丘』『バナナパラダイス』は非商業的な映画祭で観る機会を得て、その実力は承知していた。しかし、デビュー作の関係で「台湾ニューシネマの文脈上に居心地よく位置づけるのが難しい存在」(暉峻創三「バナナパラダイス」パンフレット)となっていて、国内での評価は高いが海外での認知はなされていない。佐藤忠男さんの影響大かもしれないけれど、いつしかワン・トン監督〈台湾近代史三部作〉『無言の丘』『村と爆弾』『バナナパラダイス』を商業的に公開することが、“台湾巨匠傑作選”開催の目標の一つになっていた。そのことが、今回叶った。
近年、映画界全体から見れば大きくはないが、台湾映画のウエーブが起こり、新作の公開と同時に、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンの過去作も連続して公開された。これらは興行的にも結構健闘している。10年前には考えられないことだ。その流れの中で、今年、ホウ・シャオシェン『ミレニアム・マンボ』が公開された。デカダンスな雰囲気が好きな作品だ。
ミレニアム…20世紀の終わり、ノストラダムスの大予言で地球が滅ぶと言われ、20世紀は「戦争の世紀」と呼ばれた。第一次、第二次と大きな戦争があり、国家間の争いを戦争で解決する時代だった。それに終わりを告げるのが21世紀。21世紀は「平和の世紀」になるはずだった。ところがどうだろう。憎むべき「核」をちらつかせて大国が武力をもって隣国に攻め入り、報復を名目に大量殺りくが行われ、勝手な理屈をつけて領土拡大を図る大国が現れ、専制政治が横行している。思いがけず「紛争の世紀」となった。先進国と言われる国々発展の負の遺産であるCO2問題、地球温暖化も加速している。「残念な世紀」に変貌中だ。嘆かわしい。ワン・トン監督が〈台湾近代史〉を描いてからまだ半世紀も経っていない。統治する側、される側、差別する側、される側。銃後には必ず庶民がいて、日々生活を送らなければならない。
面白うて哀しいワン・トン三部作を観て、皆、「あの時代」を忘れないようにしたい。
オリオフィルムズ代表 鈴木 一
上映作品
劇場初公開2作品を含むワン・トン監督 幻の≪台湾近代史三部作≫
『無言の丘』『村と爆弾』『バナナパラダイス』一挙公開!
『村と爆弾』[デジタルリマスター版]
日本劇場初公開1987年/台湾/98分/台湾語、日本語
原題:稻草人/英語タイトル:Straw Man
★第24回金馬奨最優秀長編作品賞、最優秀監督賞、最優秀オリジナル脚本賞受賞
★第32回アジア太平洋映画祭最優秀作品賞、最優秀助演男優賞受賞
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
日本統治時代末期、太平洋戦争真っただ中の台湾。農村で暮らす小作人のアファとコウヅエの兄弟は家族とともに貧しい生活を送っていた。母親は耳が遠く、妹は夫を戦争で失って以来、精神を病んでいる。ある日、遠方から地主がやって来て、兄弟に田畑を製糖会社に売り払うと告げる。さらに追い打ちをかけるように日本人に一家の唯一の財産である牛が徴用されてしまう。翌日、村が米軍の空襲を受けるが、敵機が去った後、兄弟の畑に残されたのは一発の不発弾。上官から褒美をせしめようと、兄弟と村の巡査は隣町の駐在所へ不発弾を届けに行く。だが上官は爆弾の暴発を恐れ、海に投棄するよう命じる。銃を突き付けられ、しぶしぶ海辺へと爆弾を運ぶ兄弟。爆弾を海に投げ込みしばらくすると水柱が上がり、人々は一瞬呆気にとられるが、爆発の衝撃で死んだ魚が海面に浮かぶや、我先にと海へ入り、魚をかき集め始める。兄弟たちも大量の魚を手に、村へと帰って行くのだった。
スタッフ
監督:ワン・トン(王童)
プロデューサー:シュー・グオリャン(徐国良)
脚本:ワン・シャオディ(王小棣)、ソン・ホン(宋紘)
音楽:チャン・ホンイー(張弘毅)
撮影:リー・ピンビン(李屏賓)
編集:チェン・リーユー(陳麗玉)、チェン・ションチャン(陳勝昌)
美術:グー・ジンティエン(古金田)
照明:ワン・ション(王盛)
録音:シン・ジャンション(忻江盛)、フー・ディンイー(胡定一)、ヤン・ジンアン(楊靜安)
キャスト
兄・アファ:チャン・ボーチョウ(張柏舟)
弟・コウヅエ:ジョウ・シェンリー(卓勝利)
妹・水仙:リン・メイジャオ(林美照)
アファの妻:ウェン・イン(文英)
コウヅエの妻:ヤン・クイメイ(楊貴媚)
地主:コー・ジュンション(柯俊雄)
地主の妻でアファの妻の妹:チャン・チュエンファン(張純芳)
村の巡査:ウー・ビンナン(吳炳南)
アファとコウヅエの母:インイン(英英)
『無言の丘』[デジタルリマスター版]
日本劇場初公開1992年/台湾/175分/台湾語、日本語
原題:無言的山丘/英語タイトル:Hill of No Return
★第29回金馬奨最優秀長編映画賞、最優秀監督賞、最優秀オリジナル脚本賞、最優秀美術設計賞、最優秀造型設計賞、最優秀観客賞受賞
★第38回アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞、最優秀美術設計賞受賞
★第1回上海国際映画祭最優秀作品賞受賞
★第6回シンガポール国際映画祭最優秀主演女優賞、審査員特別賞受賞
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
大正時代末期~昭和初期、日本統治下の台湾。チュウとウェイの小作人兄弟は両親の葬儀費用のために地主と不当な長期労働契約を結ばされていた。ある日、ゴールドラッシュの噂を聞きつけたふたりは村を抜け出し金瓜石へ向かい、未亡人ズーの家に部屋を借りながら、日本人が管理する鉱山で金採掘に従事する。劣悪な環境で働く鉱夫たちの楽しみは、近くの九份街の娼館で女を買うことだった。弟のウェイはそこで下働きする、あどけなさの残る琉球娘の富美子に惹かれ始める。富美子は館の雑用係・赤目を兄のように慕っていた。娼館のママは、鉱夫たちが持ち出してきた金を街へ持って行っては現金に換金し、私服を肥やしていた。
やがて金の無断持ち出しに対する取り締まりが厳しくなると、鉱山管理者による捜査は富美子たちへ及ぶ。赤目が富美子を娶ることを交換条件に、鉱山の所長に金の流出ルートを告げ口したからだ。強引な身体検査により破瓜させられてしまった富美子。娼館のママは富美子を水揚げすることにする。富美子に群がる男たち。ウェイもそこに加わるが、ボロボロになった富美子を介抱するので精一杯だった。
富美子を傷つけられた怒りで、赤目は金山の所長を殺害する。その混乱に乗じて、鉱夫たちは鉱山から金を持ち出そうとするが、爆発事故が起き、チュウは帰らぬ人となる。チュウと恋仲になっていたズーは、子供たちを連れて金瓜石を去る。残されたウェイと富美子は、「無言の丘」で抱き合うのだった。
スタッフ
監督:ワン・トン(王童)
プロデューサー:シュー・リーコン(徐立功)
脚本:ウー・ニエンチェン(呉念真)
音楽:チェン・シェン(陳昇)、リー・チェンファン(李正帆)
撮影:ヤン・ウェイハン(楊渭漢)、ワン・ション(王盛)
編集:チェン・ションチャン(陳勝昌)
美術:リー・フーション(李富雄)
照明:ワン・シェン(王盛)
録音:シン・ジャンション(忻江盛)、ヤン・ジンアン(楊靜安)、フー・ディンイー(胡定一)
キャスト
チュウ:ポン・チャチャ(澎恰恰)
ウェイ:ホアン・ピンユエン(黃品源)
未亡人ズー:ヤン・クイメイ(楊貴媚)
ママさん:ウェン・イン(文英)
富美子:チェン・シェンメイ(陳仙梅)
赤目:レン・チャンピン(任長彬)
ゴン:チェン・ボーション(陳博正)
チン:チャン・ロン(張龍)
麵茶売り:アイ・ザイトウ(矮仔塗)
所長:篠崎功
娼婦:ルー・シャオリン(陸筱琳/ルー・イーチン)
『バナナパラダイス』[デジタルリマスター版]
1989年/台湾/148分/中国語、台湾語
原題:香蕉天堂/英語タイトル:Banana Paradise
★第26回金馬奨最優秀助演男優賞受賞(最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀オリジナル脚本賞、最優秀衣装デザイン賞、最優秀録音賞ノミネート)
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
1949年、幼馴染みのダーションを頼って国共内戦中の国民党軍に潜り込んだ青年メンシュアンは、寒風吹きすさぶ荒涼たる中国華北から、バナナが実る緑豊かな南国台湾へとたどり着く。その新天地で二人にスパイ容疑がかけられ、ダーションは拷問の後、そのまま姿を消す。メンシュアンは命からがら逃げだす。途中、ある男の臨終に出くわしたメンシュアンは、その妻ユエシャンに彼女の夫チーリンに成りすまして仕事に就くことを持ちかけられる。
エリートだった”チーリン”が得た仕事に、学のないメンシュアンは悪戦苦闘。そんなある日、かつて所属していた慰問隊の看板女優が職場にやってきた。女優は女性職員リウ(劉)の義理の姉だったのだ。偶然の再会になりすましがばれそうになるが、リウが機転を利かせ窮地を脱する。
手紙を頼りに台南を訪れたメンシュアンたちは、ダーションが親しくしているバナナ農園に身を寄せるが、ダーションは精神を病んでいた。メンシュアンはダーションの身柄を引き取ると一念発起し、チーリンとして公務員資格試験に挑み、職を得る。
それから10数年後。戒厳令解除後の台湾では、それまで禁止されていた、大陸の家族との面会ができるようになっていた。電話でチーリンの父親と話すことになったメンシュアン。ユエシャンにチーリンの家族について尋ねると、ユエシャンも実は自分がなりすましであると告げるのだった。
スタッフ
監督:ワン・トン(王童)
プロデューサー:シュー・グオリャン(徐国良)
脚本:ワン・シャオディ(王小棣)、ソン・ホン(宋紘)
撮影指導:リャオ・ベンロン(廖本榕)
音楽:チャン・ホンイー(張弘毅)
美術:グー・ジンティエン(古金田)、リー・バオリン(李寶琳)、ワン・トン(王童)
録音:シン・ジャンション(忻江盛)、フー・ディンイー(胡定一)、マオ・シングオ(毛興國)
衣装:リー・バオリン(李寶琳)、ワン・トン(王童)
編集:チェン・ションチャン(陳勝昌)、チェン・リーユー(陳麗玉)
キャスト
メンシュアン(門栓):ニウ・チェンザー(鈕承澤)
ダーション(得勝):チャン・シー(張世)
ユエシャン(月香):ゾン・チンユー(曾慶瑜)
リウ(劉)さんママさん:リー・シン(李欣)
劇団の主演女優:ディン・イエティエン(丁也恬)
バナナ農園のおばさん」ウェン・イン(文英)
バナナ農園のおじさん:ファン・ロン(方龍)
老メンシュアン:リー・クン(李昆)
ワン・トン プロデュース作品
『熱帯魚』[デジタルリストア版]
特別上映監督:チェン・ユーシュン
1995年/108分/台湾 原題:熱帯魚
出演:リン・ジャーホン、シー・チンルン、リン・チェンシン
★第48回ロカルノ国際映画祭青豹賞
★第32回金馬奨最優秀脚本賞、最優秀助演女優賞
© 2011 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
90年代台北。小学生のタウナンが誘拐される事件が発生。空想好きで落ちこぼれの中学生ツーチャンもひょんなことから同じ犯人に誘拐されてしまう。ところが主犯の男が交通事故であっけなく死に、困り果てた共犯のアケンは…。『1秒先の彼女』(20)のチェン・ユーシュン監督による傑作コメディ。
ワン・トン(王童)監督プロフィール
1942年中国安徽省大和県生まれ。国立台湾芸術専科学校卒業後、中央電影でキン・フー監督の『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(67)『俠女』(70)等に美術スタッフとして参加、その後リー・シン(李行)監督、パイ・ジンルイ(白景瑞)監督らの下で美術を担当し、高い評価を得る。
1981年『仮如我是真的』(If I Were for real・未)で監督デビュー、同作で第18回金馬奨最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀改編脚本賞を獲得。代表作に『海を見つめる日(看海的日子)』(83)『村と爆弾(稲草人)』(87)『無言の丘(無言的山丘)』(92)など。
『熱帯魚』(95)『藍色夏恋』(02)プロデューサー。自身の監督作品のほか、100を超える作品で美術指導にあたる。2007年に台湾文芸界における最高栄誉賞である国家文芸賞を、2019年に金馬奨の名誉賞である終身成就奨を受賞。
台湾ニューシネマの監督たち(製作年順)
『風が踊る』[デジタルリマスター版]
監督:ホウ・シャオシェン
1981年/92分/台湾
出演:フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、アンソニー・チェン、メイ・ファン
©1982 Kam Sai (H.K.) Company © 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.
あらすじ
CMの撮影で澎湖島を訪れた女性カメラマン・シンホエは、事故で視力を失った青年チンタイと知り合う。その後ふたりは台北で偶然再会を果たすが…。1980年代初頭の、民主化へと向かいつつある戒厳令下の台湾社会を背景に、伝統的な家族観や結婚観と自由恋愛の間で揺れ動く自立した女性の心理を、澎湖島、台北、鹿谷を舞台にキャッチーな歌謡曲と共に、軽やかに描いたホウ監督初期品。
『少年』[デジタルリマスター版]
監督:チェン・クンホウ
1983年/94分/台湾
出演:チャン・チュンファン、ツイ・フーシェン、トゥオ・ツォンホア
★第20回金馬奨最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞受賞
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
1960年代台湾・淡水。未婚の母シウインは息子アジャのために年の離れた男性ターシュンと見合い結婚する。ターシュンは実の息子のようにアジャを可愛がるが、やがて弟がふたり生まれ、元々やんちゃだったアジャは中学生になる頃にはすっかり不良少年に。そんなある日、アジャの不注意から弟が事故に遭い…。ひとりの少年の成長譚を隣家の少女の視点で語る、のちにホウ・シャオシャオ監督作品で脚本を務める小説家朱天文(チュウ・ティエンウェン)の短編小説をチェン・クンホウ監督がホウ・シャオシェンらとともに映画化した、台湾ニューシネマの夜明けを代表する珠玉の名作。
『坊やの人形』
監督:ホウ・シャオシェン他
1983年/108分/台湾
出演:チェン・ボージョン、ヤン・リーイン
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
60年代前半の台湾を舞台に必死に生活を送る人々の姿を描く。「坊やの人形」「シャオチの帽子」「りんごの味」の三部作で構成されている。監督は「坊やの人形」がホウ・シャオシェン、「シャオチの帽子」がソン・ジュアンシャン、「りんごの味」がワン・レン。台湾ニューシネマの誕生を告げた記念作。
『風櫃の少年』
監督:ホウ・シャオシェン
1983年/101分/台湾
出演:ニウ・チェンザー、チャン・シー
★第6回ナント三大陸映画祭グランプリ
★1985年アジア太平洋映画祭最優秀監督賞
© Central Motion Picture Corp.
あらすじ
澎湖島の風櫃に住むアチンと彼の友人たちは悪戯や喧嘩をして日々を過ごしていた。ある日、対立するグループとの争いが警察沙汰となり、家に戻れなくなった彼らは高雄に行くことを決める。世界の映画作家に多大な影響を与えた一作。
『台北ストーリー』[4Kレストア・デジタルリマスター版]
監督:エドワード・ヤン
1985年/台湾/119分
出演:ホウ・シャオシェン、ツァイ・チン、ウー・ニェンチェン
★第38回ロカルノ国際映画祭審査員特別賞
©3H productions ltd. All Rights Reserved.
あらすじ
1980年代半ば、過去に囚われた男と未来に想いを馳せる女のすれ違いが、変わりゆく台北の街並みに重ねられ、やがて思いもよらない結末を呼び込む。エドワード・ヤン監督、ホウ・シャオシェン主演…台湾ニューシネマの若き才能たちが総結集した、奇跡の作品。
『童年往事 時の流れ』
監督:ホウ・シャオシェン
1985年/ 138分/台湾
出演:ユー・アンシュン、シン・シューフェン
★第22回台湾金馬奨 最優秀助演女優賞・最優秀脚本賞
★第36回ベルリン国際映画祭 国際批評家連盟賞
© 2014 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
少年の成長の年代記を、彼と家族の日常をめぐるささやかな出来事で綴る。主人公の阿孝は、1947年広東省に生まれ、一歳のときに一家で台湾に移住した。ガキ大将的存在の阿孝だったが病弱な父は、阿孝に小さな影を落としていた…。ホウ・シャオシェン初期の代表作。
『恋恋風塵』
監督:ホウ・シャオシェン
1987年/110分/台湾
出演:ワン・ジウウエン、シン・シューフェン、リー・ティエンルー
★第9回ナント三大陸映画祭 最優秀撮影賞・最優秀音楽賞
© 2014 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
60年代、幼い頃から田舎町で兄弟のようにいつも一緒に育ってきた中学生の少年アワンと少女アフン。卒業して台北に働きに出た二人の淡い恋とその切ない別れを描く。
『ナイルの娘』
監督:ホウ・シャオシェン
1987年/93分/台湾
出演:ヤン・リン、ヤン・ファン、シン・シューフェン
★第5回トリノ国際映画祭 審査員特別賞
★第24回金馬奨最優秀音楽賞
©1987 Scholar Multimedia Co., Ltd /©2016 Taiwan Film and Audiovisual Institute All rights reserved.
あらすじ
母を亡くし、父は遠い町に暮らす孤独な少女、シャオヤン。彼女は「ナイルの娘」という日本の漫画に夢中。兄の経営するレストランで働くアーサンという男に想いを寄せる彼女だったが、ある日アーサンはヤクザの情婦と恋に落ちてしまう…。少女の眼が捉えた台北の夜の闇に生きる青春群像を、独特の静寂の中に描く異色作。
『青春神話』
監督:ツァイ・ミンリャン
1992年/106分/台湾
出演:リー・カンション、チェン・チャオロン
★第6回東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞
★1993年トリノ映画祭最優秀新人監督賞
★第15回ナント三大陸映画祭最優秀処女作賞
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
台湾の首都、台北を舞台に、一人の予備校生と周囲の人間関係を通して、現代の台湾社会を独特の抑制された形式で描いた青春群像劇。ツァイ・ミンリャン監督衝撃のデビュー作。
『愛情萬歳』
監督:ツァイ・ミンリャン
1994年/台湾/117分
出演:ヤン・クイメイ、リー・カンション
★第51回ヴェネチア国際映画祭グランプリ(金獅子賞)・国際映画評論家賞
★第31回金馬奨最優秀監督賞・最優秀作品賞・最優秀録音賞
★第16回ナント三大陸映画祭最優秀監督賞・最優秀男優賞
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
現代の台北を舞台に、孤独な男女3人の生き方を、冷徹なカメラワーク、極端に少ない台詞、一切の音楽の助けを借りない俳優たちの陰影豊かで繊細な演技など、抑制された演出でつづった人間ドラマ。
『憂鬱な楽園』
35mmフィルム上映監督:ホウ・シャオシェン
1996年/112分/台湾・日本
出演:ガオ・ジェ、リン・チャン、伊能静
★第33回金馬奨 最優秀オリジナル音楽賞
© 1996 松竹株式会社
あらすじ
中年間近のチンピラと、弟分と彼の恋人のその日暮らしの毎日を描いた一編。チンピラのガオは40歳近いが正業に就かず、弟分のピィエンと彼の恋人のマーホァを連れて、田舎町の平渓にやって来る。中盤のオートバイ走行の長回しが圧巻。
『河』
監督:ツァイ・ミンリャン
1997年/台湾/115分
出演:リー・カンション、ミャオ・ティエン
★第47回ベルリン国際映画祭審査員特別賞
© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
あらすじ
台北。シャオカンは街で旧知の女友達と再会。映画スタッフの彼女に誘われ、撮影現場に訪れた彼は、河に浮かぶ死体役に抜擢されてしまう。彼女と一夜をすごした後、彼は首が曲がったままになる奇病にかかっていた…。
『HHH:侯孝賢』[デジタルリマスター版]
監督:オリヴィエ・アサイヤス
1997年/92分/フランス・台湾
出演;ホウ・シャオシェン、オリヴィエ・アサイヤス、チュウ・ティエンウェンほか
★第56回金馬奨最優秀新人監督賞ほか
★第39回香港電影金像奨最優秀アジア華語映画賞
©TRIGRAM FILMS, All rights reserved.
あらすじ
批評家時代から台湾ニューシネマを積極的に世界に紹介し、監督デビュー後もホウ・シャオシェンからの影響を公言して憚らない、フランスを代表する映画監督の一人オリヴィエ・アサイヤスがホウ監督とともに台湾を旅しながら、彼の素顔に迫る貴重なドキュメント。
『フラワーズ・オブ・シャンハイ』[4Kデジタル修復版]
監督:ホウ・シャオシェン
1998年/114分/日本・台湾
出演:トニー・レオン、羽田美智子、ミシェル・リー
★第33回金馬奨 最優秀オリジナル音楽賞
©1998/2019 侯孝賢映像製作社・松竹株式会社
あらすじ
ホウ・シャオシェン監督が初めて挑んだ時代劇。19世紀末の清朝末期、上海のイギリス租界の高級遊郭を舞台に男たちと娼婦たちの愛の葛藤を描きだす。
『ヤンヤン 夏の想い出』
35mmフィルム上映監督:エドワード・ヤン
2000年/173分/台湾・日本
出演:ジョナサン・チャン、ケリー・リー、イッセー尾形
★第53回カンヌ国際映画祭 最優秀監督賞
★第26回L.A.批評家協会賞 最優秀外国語映画賞
★第67回N.Y.批評家協会賞 最優秀外国語映画賞
©1+2 Seisaku Iinkai.
あらすじ
8歳のヤンヤンは、祖母と両親と姉と台北で暮している。祖母が脳卒中で倒れたのを機に看病に疲れた母は家を出、昔の恋人と再会した父は過去を思い出し、姉は恋に思い煩う。そんな家族の姿をヤンヤンは冷静に見守り…。2007年早世したヤン監督の遺作となった。
『ミレニアム・マンボ』[4Kレストア版]
35mmフィルム上映監督:ホウ・シャオシェン
2001年/105分/台湾・フランス
出演:スー・チー、カオ・ジエ、トゥアン・ジュンハオ
★第54回カンヌ国際映画祭高等技術院賞
★第38回金馬奨最優秀撮影賞、最優秀オリジナル映画音楽賞、最優秀音響賞
©2001 3H Productions / Paradis Films / Orly Films / SinoMovie.com.
あらすじ
2001年台北。ヴィッキーは嫉妬深くだらしない同棲中の恋人のハオとの生活にうんざりしていた。やがてホステスとして働き始めたヴィッキーは、店で知り合った年上男性ガオのもとに転がり込む。だがそのガオもトラブルに巻き込まれ、日本へ高飛びしてしまい…。ヴィッキーを演じるのはその後ホウ監督のミューズとなるスー・チー。